概要 1999年度から首都圏に大量投入されたE231系車両を、さらに進化・発展させた車両として開発された。そのため、E231系によって置き換えられなかった通勤型車両の201系や205系、近郊型車両の211系の置き換え用に主に製造されている。製造メーカーは、東急車輛製造(2012年4月より総合車両製作所横浜事業所)、川崎重工業と、JR東日本の自社生産工場である新津車両製作所(2014年4月より総合車両製作所新津事業所)である。
本系列は、それぞれの線区に合わせた番台が投入されている。
0番台
本系列で初めて製造された0番台は、中央線快速系統(青梅線・五日市線・八高線含む)で使用していた201系の置き換えを目的として開発・製造された車両で、2006年(平成18年)12月26日に営業運転を開始した。また、青梅線の青梅以西・五日市線・八高線・富士急行線でも2007年3月18日より営業運転を開始した。
1000番台
京浜東北線・根岸線で使用していた209系の置き換え用として、2007年(平成19年)12月22日から営業運転を開始した。
2000番台
常磐緩行線・東京地下鉄(東京メトロ)千代田線で使用していた203系と207系900番台の置き換え用として、2009年(平成21年)9月9日から営業運転を開始した。
3000番台
東海道本線で2008年(平成20年)3月10日から営業運転を開始した。また、東北本線(宇都宮線の上野駅 - 大宮駅間)・高崎線・両毛線でも2012年9月1日より営業運転を開始し、2013年3月16日からは宇都宮線大宮駅以北でも営業運転を開始した。
5000番台
京葉線(京葉線車両が乗り入れる外房線・内房線の一部区間、東金線の全区間、西船橋駅 - 南船橋駅間を含む)で使用していた201系、205系、209系500番台の置き換え用として、2010年7月1日から営業運転を開始した。
6000番台
横浜線(横浜線車両が乗り入れる京浜東北・根岸線の一部区間を含む)で使用している205系の置き換え用として、2014年2月16日から営業運転を開始した。
7000番台
埼京線・川越線・東京臨海高速鉄道りんかい線で使用している205系の置き換え用として、2013年6月30日から営業運転を開始した。
8000番台南武線で使用している205系、209系0番台・2200番台の置き換え用として2014年7月から2015年秋にかけての投入が予定されている。
走行機器など
故障や事故などに備えて同一機器を2基以上搭載(パンタグラフ・空気圧縮機 (CP) ・MT比を上げることでの主回路機器の個数増など)したり、二重化(モニタ装置の伝送・演算部や保安装置・補助電源装置 (SIV) など)を施し、万一片方が故障しても自力走行ができるように、他の鉄道事業者でも一般的となりつつある二重化設計思想がJR東日本の車両として初めて採用された(冗長化)。
集電装置はシングルアーム式のPS33D形パンタグラフであるが、常時使用しているパンタグラフの他に、編成で1台は予備のパンタグラフ (通常走行時は折りたたんだ状態) を搭載している。万が一、常用のパンタグラフがすべて使用不能の場合にも1ユニットが使用できるようにされている。
台車は、ボルスタレス台車を使用しており、軸箱支持装置は209系以来の軸梁式を採用している。制御車(クハ:Tc, Tc')と付随車(サハ:T)がTR255形およびTR255A形、電動車(モハ:M、M')がDT71形を装着する。
番台区分
【0番台】
中央線快速・青梅線・五日市線向けの車両で、豊田車両センターに配置されている。中央線快速の運用を基本とする10両固定編成42本(T編成・420両)と6+4両分割編成16本(H編成・160両)、青梅・五日市線の運用を基本とする6両編成12本(青編成・72両)と4両編成9本(青編成・36両)がある(総計688両)。なお、H編成の最後となるH58編成は、当初青658編成・青458編成として製造されたが、2008年(平成20年)4月1日にH編成に編入された。
中央線快速の場合、列車種別が6種類と他の路線に比べて多く、車内案内表示器右側の液晶画面に表示される停車駅案内は立川以西における最遠直通先である大月駅、奥多摩駅(青梅線)、武蔵五日市駅(五日市線)、高麗川駅(八高線)、そして河口湖駅(富士急行線)まで中央線快速の路線色であるオレンジ色のラインで描かれており、201系にある停車駅案内より枝分かれが多く、2画面(河辺以西発着または富士急行線に乗り入れる際には3画面)に分けて表示している。また、快速運用時に201系では種別は表示していなかったが、本系列では表示(オレンジ色の背景に白文字)されるようになった。表示されるのは上り線の全区間と下り線の快速運転区間(平日:東京駅 - 中野駅間、土曜・休日:東京駅 - 吉祥寺駅間)のみで、これ以外の区間では終着駅名と次の停車駅(側面のみ)が表示されている。また、中央特快・青梅特快以下の列車はこれらが各駅停車になる立川ですべて上記と同じようになるが、種別表示を出したまま運転するケースも見られる。早朝・深夜に運転される各駅停車についても、緩行線を走行する三鷹駅までは種別を表示し、三鷹到着時に種別表示を消している。各駅停車の種別表示は緩行線を経由する列車のみが対象となっているため、立川発大月行や高尾発武蔵小金井行(最終電車)といった三鷹以西のみを走る列車については全区間にわたり種別無表示となる。 青梅線・五日市線・八高線・富士急行線での分割・併合の関係で、201系と同一の10両固定編成(T編成・T1 - )と分割可能な6+4両編成(H編成・H43 - )の2種類の10両編成で製造されている。6+4両編成の場合、中央線快速運用の201系では東京方に4両編成を連結していたが、本系列では高尾方に4両編成を連結する。高頻度運転を行う中央線快速の性格から、MT比はE231系の基本構成となっている 4M6T から 6M4T として加減速性能を向上させ、従来の201系より数分程所要時間を短縮させた。
■編成構成
・10両編成(←東京 1号車、10号車 高尾→)
クハE233-0、モハE233-0、モハE232-0、モハE233-200、モハE232-200、サハE233-500、
サハE233-0、モハE233-400、モハE232-400、クハE232-0
・6両編成(←東京 1号車、6号車 高尾→)
クハE233-0、モハE233-0、モハE232-0、モハE233-200、モハE232-200、クハE232-500
・4両編成(←東京 7号車、10号車 高尾→)
クハE233-500、モハE233-600、モハE232-600、クハE232-0
※モハE233形0番台と600番台は予備のパンタグラフを搭載。
※八高線、富士急行線への入線はホーム有効長の関係で4両編成限定
※青梅・五日市線向け編成番号:6両編成「青600」番台、4両編成「青400」番台が付与。
【1000番台】
京浜東北線・根岸線向けの車両で、浦和電車区に配置されている。2007年度(2007年9月)から2009年度(2010年1月)にかけて870億円を投入し、10両編成83本(830両)が製造された。MT比 6M4T の10両固定編成のみが製造され、2007年(平成19年)12月22日から営業運転を開始した。本番台区分の投入により、車齢が若いものの機器の故障が多かった京浜東北線の209系は0番台の半数程度が廃車、それ以外の0番台と500番台は他路線へ転用された。
■編成構成
・形式(←大宮 10号車、1号車 大船→)
クハE233-1000、サハE233-1200、モハE233-1400、モハE232-1400、サハE233-1000、
モハE233-1000、モハE232-1000、サハE233-1200、モハE232-1200、クハE232-1000
※モハE233形1000番台には予備のパンタグラフを搭載。
※全車両が4扉車で組成
【2000番台】
常磐緩行線と乗り入れ先の東京地下鉄(東京メトロ)千代田線向けの車両で、松戸車両センターに配置されている。本番台区分は10両編成18本(180両)全車両が東急車輛製造製となっている。2009年(平成21年)5月に1本が導入され、同年9月9日から営業運転を開始して207系900番台を置き換えた。その後、2010年(平成22年)8月から2011年(平成23年)9月の期間に残りの17本が製造され、203系の置き換えを完了させた。なお、1999年(平成11年)秋に導入された209系1000番台は置き換え対象に入っていない。
運用範囲は2013年10月時点では取手駅 - 綾瀬駅 - 代々木上原駅間の常磐線・千代田線内のみで、小田急電鉄には入線しない。ただ、将来的な小田急線への直通を可能にするため、2013年4月以降、保安装置搭載等の車両改造が行われることになり、2013年8月に最初の編成の改造が行われた。 なお、千代田線に乗り入れる小田急の4000形に対しても、同様に将来的な3社間(常磐緩行線への)直通運転を行うための対応工事を実施中である。
■編成構成
・形式(←取手 10号車、1号車 代々木上原→)
クハE233-2000、モハE233-2400、モハE232-2400、サハE233-2200、モハE233-2000、
モハE232-2000、サハE233-2000、モハE233-2200、モハE232-2200、クハE232-2000
※モハE233形2000番台には予備のパンタグラフを搭載。
※電動車の組成位置は203系・207系900番台・209系1000番台と同一である。
【3000番台】
・国府津車両センター所属車両
JR東日本では、2007年度から鎌倉車両センター配置で、横須賀線・総武快速線で運用されているE217系のVVVFインバータ装置などの機器類更新工事を開始した。更新工事の施工に際して、鎌倉車両センターに配置されている予備編成が不足することから、2006年(平成18年)に東海道本線・伊東線で運用していた113系を置き換えるために国府津車両センターに転出したE217系基本10両+付属5両編成1本を再度鎌倉車両センターに配置することとなったが、その補充分として製造されたのが本系列の近郊タイプとなる3000番台である。
2007年(平成19年)に東急車輛製造で基本10両+付属5両1本(E01編成+E51編成)が落成し、国府津車両センターに配属された。当初は2008年(平成20年)3月7日より営業運転を行う予定だったが、同日に人身事故が発生したため延期となり、同年3月10日から東海道本線で営業運転を開始した。その後、2010年(平成22年)2月に第2編成としてE02編成+E52編成が落成した。この第2編成は2010年3月13日のダイヤ改正における横須賀線武蔵小杉駅開業に伴って同線の増発が行われることとなり、東海道線で運用してきたE217系1編成(基本10両+付属5両)を再度横須賀線に転用するための捻出用として製造された。
・高崎車両センター所属車両
2012年度(5月以降落成・L01編成 - L17編成とD01編成 - D16編成)からは東北本線(宇都宮線)・高崎線系統で運用している211系の後継車種として高崎車両センターに配置が開始され、先に落成していた元田町車と同一の仕様となっている。基本編成17編成・付属編成16編成(250両)が投入され、2014年3月15日のダイヤ改正をもって高崎車両センター所属の211系の置き換えを完了した。なお、これらの3000番台は最終的に田町車(現:国府津車)・高崎車合わせて基本編成が31編成、付属編成は30編成が製造された。
■編成構成
基本編成と付属編成を併結する際は、基本編成が上野・熱海側、付属編成が東京・前橋・黒磯側となる。
10両編成(基本編成)は上野・熱海側1号車、東京・前橋・黒磯側10号車。5両編成(付属編成)は上野・熱海側11号車、東京・前橋・黒磯側15号車
※モハE233形3000番台とモハE233 3600番台には予備のパンタグラフを搭載。
【5000番台】
京葉線(京葉線車両が乗り入れる外房線・内房線の一部区間、東金線の全区間、西船橋駅 - 南船橋駅間を含む)向けの車両で、番台区分は5000番台となり、京葉車両センターに配置されている。2010年(平成22年)7月1日より営業運転を開始し、本番台区分の投入により、京葉線で運用されていた201系、205系を置き換えた。当初計画では10両固定編成21本(210両)、6両+4両分割編成4本(40両)の計250両が投入される予定であったが、最終的に落成した編成の内訳は10両固定編成20本(200両)、6両+4両分割編成4本(40両)計240両と、10両固定編成が1本(10両)少なくなっている。本番台区分は全車両が新津車両製作所製となっている。なお、E331系は置き換え対象に入っていない。
同線で運用していた201・205系に合わせて東京方先頭車を1号車とし、蘇我方先頭車を10号車としている。また、同線の201系の置き換えも行うことから10両固定編成のほかに6両+4両分割編成も投入した。なお、6両+4両分割編成においては東京方の6両編成は1 - 6号車、4両編成は7 - 10号車として、6・7号車間の先頭車には電気連結器を装備する。
■編成構成
・10両編成(貫通編成)(←蘇我 10号車、1号車 東京→)
クハE233-5000、モハE233-5400、モハE232-5400、サハE233-5000、サハE233-5500、
モハE233-5000、モハE232-5000、モハE233-5200、モハE232-5200、クハE232-5000
・6+4両編成(分割編成)(←蘇我 10号車、1号車 東京→)
クハE233-5000、モハE233-5600、モハE232-5600、クハE232-5500、
クハE233-5500、モハE233-5000、モハE232-5000、モハE233-5200、モハE232-5200、クハE232-5000
【6000番台】
横浜線(横浜線車両が乗り入れる京浜東北・根岸線の一部区間を含む)向けの車両で、同線で使用されている205系の置き換え用として28編成224両が順次投入される。6000番台の番台区分が使用され、鎌倉車両センターへと配置されている。当初は2014年度の予定であったが、後に2014年春に前倒しとなり、2014年2月16日から営業運転を開始した。それにさきがけて2014年2月2日には、小机・町田駅において車両展示会が行われた。
拡幅車体構造の採用による定員数約1割増加や、6扉車の連結なしの点は先に落成した7000番台と同様である。本番台区分では横浜線活性化プロジェクトの一環として、JR東日本の通勤用車両として 初めてオリジナルのロゴマークと駅スタンプが車両に掲出されている。ロゴマークは先頭車前面および各車両の側面に掲出され、横浜線のラインカラーの緑色を基調としたものに、横浜線を表す「YOKOHAMA LINE」、さらに横浜線沿線にある横浜市、相模原市、町田市の市の木であるケヤキの葉をデザインしたものである。駅スタンプは先頭車の乗務員室寄り側面に掲出されるもので、スタンプは従来より各駅に用意されているものとし、横浜線東神奈川駅 - 八王子駅間20駅分と京浜東北線・根岸線横浜駅 - 磯子駅間7駅分に大船駅を加えた28駅分あり、全28編成で異なるものである。
■編成構成
・8両編成(←八王子 8号車、1号車 東神奈川→)
クハE233-6000、モハE233-6400、モハE232-6400、サハE233-6000、
モハE233-6000、モハE232-6000、サハE233-6200、クハE232-6000
※モハE233形6000番台には予備のパンタグラフを搭載。
【7000番台】
埼京線・川越線と乗り入れ先の東京臨海高速鉄道りんかい線向けの車両で、番台区分は7000番台となり、川越車両センターに配置されている。2013年6月30日より営業運転を開始した。本番台区分(31編成310両)の投入により、同線で運用されている205系を順次置き換える。
■編成構成
・10両編成(←大崎 10号車、1号車 大宮→)
クハE233-7000、モハE233-7400、モハE232-7400、サハE233-7200、サハE233-7000、
モハE233-7000、モハE232-7000、モハE233-7200、モハE232-7200、クハE232-7000
※モハE233形7000番台には予備のパンタグラフを搭載。
【8000番台】
南武線向けの車両で、同線で使用されている205系、209系0番台・2200番台の置き換え用として35編成210両が順次投入される。8000番台の番台区分が使用され、2014年7月から2015年秋にかけての投入が予定されている。6000番台・7000番台と同様に車内照明をLED照明とし、電力消費量の低減を図る。
その他
・本系列1,938両の導入によって201系754両・203系170両・205系170両・207系900番台10両・209系延べ870両(→実際には830両)がそれぞれ直接置き換えられる。内訳は10両固定編成163本(1,630両/0番台420両・1000番台830両・2000番台180両・5000番台200両)と6+4両編成19本(190両/0番台150両・5000番台40両)および青梅線・五日市線区間運用の6両編成13本(78両)と4両編成10本(40両)となっている。
・2013年4月時点では、0番台688両・1000番台830両・2000番台180両・3000番台490両・5000番台240両の計2,428両が在籍しているが、これに今後投入予定の埼京線・川越線用7000番台310両、横浜線用6000番台224両、南武線用8000番台210両を加えた場合、在籍数は3,172両となり、E231系の2,632両を上回ってJRグループで同一系列の最多配置両数となる見込みである。また製造数としても民営化後のJRグループでは最大となり、旧国鉄時代を含めると103系の3,447両(他形式からの編入を含めると3,503両)、0系の3,216両に次ぐ3位となる。 |